私の親、介護が必要な気がするんだけど、何から始めたらいい?
今回の記事では、親の介護が必要になったかな?なりそうだな?と感じた際に何から始めれば良いか、特に介護の申請方法に焦点を当てて説明していきたいと思います。
「なんかめんどくさそう」「ハードル高いイメージ・・」と感じると思いますが、この記事を読んだ後には、少し気が楽になると思いますので、一緒に確認していきましょう!
親の健康状態を確認する
まずは今現在の親の健康状態を把握しましょう。介護の必要性を判断する上で重要なことです。「まだまだ大大丈夫かな?このぐらいで相談するの早いかな?」と悩んだら以下のチェックをしてみてください。
介護が必要かのチェック
親の日常生活における健康状態や機能のチェックします。
食事: 親が食べる量や質に変化が見られるかどうかを観察します。たとえば、食欲が減退しているか、食事の摂取が困難になっているか、食べた後に消化不良や吐き気があるかどうかを確認します。また、食べ物の硬さや大きさによる嚥下(飲み込み)の困難や、歯の問題による咀嚼の困難など、食事に関連した身体的な問題も注意深く確認しましょう。
入浴: 親が自分で入浴できるかどうかを確認します。入浴時の安全性や衛生状態を観察し、滑りやすい床での入浴や入浴後の転倒の危険性、補助具が必要かどうかなどを確認します。
湯船の出入りができなくてしばらくシャワーしか浴びてない、なんてこともあるよ!
移動: 親が自立して立ち上がりや歩行できるかどうかを確認します。立ち上がり時や歩行時に支えが必要ないか、車椅子や杖などの補助具が必要かどうかを見極めます。また、階段の昇降や外出時の移動に支障があるかどうかも確認します。
物忘れ:物忘れや日常生活の判断能力の低下、人とのコミュニケーションの困難さなど、認知機能の変化も注意深く観察しましょう。
飲んでいる薬の管理状況もチェック!
かかりつけの病院(主治医)を決めておこう!
定期的に受診している病院がありますか?
日頃からかかりつけ医を決めておくといいよ!
かかりつけ医を持つことで先生も症状を把握しやすいし、もし家で介護をすることになる場合はかなり心強い存在になるよ!
例えば、親が次のような症状を示している場合はなるべく早くに医師の診断をうける必要がありますので受診しましょう。
- 意識の混濁や混乱があり、日常生活に支障をきたすようになった。
- 持続的な体の痛みや不快感、これが日常生活における動作に影響を与えている。
- 食事摂取の困難や体重変化
- 排泄に関する問題、便秘や尿失禁などの症状が慢性化
上記の4つを具体的な例で例えると、
- 認知機能⇨洗濯機の使い方を忘れる、薬の管理ができていない、今日のしたことを忘れる、近所で道に迷う、盗まれたなどと被害妄想を言い出すなど
- 身体⇨腰痛や膝の痛み、めまいなどにより、動作に制限や支障が出ている。布団から1人で起き上がれない、お風呂で浴槽への跨ぐ動作が痛くてできないので入浴はシャワーだけなど。
- 食事⇨入れ歯が合っていなくて食べれなかったり、口腔状態が悪い、食べる事への意欲の低下(作ることが面倒、出来ないなど)嚥下機能の低下により食事形態が合わなくなってきた(大きさ、硬さ)
- 排泄⇨トイレに行くまでに間に合わず出てしまう、立ち上がり時に漏れてしまう、便意を感じていないにもかかわらず下着が汚れてしまう(加齢に伴う筋力低下が原因で肛門括約筋が緩んで重力によって肛門を通り下着に漏れ出てしまう)出ている感覚がない。トイレの場所が分からない時があるなど
これらの症状や問題が親の健康や日常生活に影響を与えている場合、医師の診断を得ることで症状の原因や進行状況を把握し、適切な治療や介護プランを立てることが必要です。
先生の前だと元気になって調子良く話を合わせてしまうから先生に症状が伝わらない場合や本人の前では言いづらい内容(認知機能のこととか)の時はどうしたらいい?
事前に症状や困っていることをまとめて書き出しておいて受付時や看護師さんに事前に渡しておくといいよ。その際に「本人の前では言わないように」とお願いしておくと◎
介護の認定を受けようと思っている場合は、医師に介護申請の意向を話しておくと、介護申請の際にスムーズに手続きを進めることができます。
介護申請をするのでその時は主治医の意見書をよろしくお願いします」とお願いしておきましょう!大事だよ!
※主治医の意見書は要介護認定の申請書に記入した主治医に市町村から直接作成依頼します。費用は介護保険から支払われるため、自己負担はありません。
※もし主治医がいなくても大丈夫。その時は市町村から指定された医師が意見書を書いてくれます。ただ、その際も受診はしなくてはならないので注意!
介護サービスの利用方法を理解する
介護が必要となった場合、介護サービスの利用方法を理解することが重要です。以下では、介護保険の申請プロセスと必要な書類・申請手続きの詳細について説明します。
介護保険の申請プロセス
介護保険を利用するには、まず介護保険の申請が必要です。申請の手順は次の通りです。
要介護認定の申請
親の住んでいる市町村の福祉課や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所に申請します。申請用紙は窓口でもらうか、住んでいる市町村のHPからダウンロードが出来るので、事前にわかるところだけでも記入して持っていくとスムーズです。(なくても大丈夫!窓口にあるから心配しないでOK)
ネットでの申請は出来ないから注意!
※市町村の福祉課や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所の違いとは
介護申請にお金はかかるのか?
介護申請から認定までの費用は無料です。
要介護認定を受けるにあたり主治医の意見書が必要となりますが、 意見書の作成にも申請者やその家族の金銭的負担はありません。
申請は家族がしていいのか?
本人以外の家族で大丈夫です。地域包括職員やケアマネージャーによる代行も出来るので、希望する場合は事前に地域包括支援センターや居宅介護支援事業所に連絡して聞いてみてください。
申請時に必要なものは何?
- 介護保険の保険証※第1号被保険者(65歳以上)
- 健康保険被保険者証※第2号被保険者(40~64歳)
- マイナンバーカード
- 申請者の身元が確認できるもの(運転免許証など)
- 本人以外が申請する場合は「委任状」「印鑑」「代理人の身元が確認できるもの」
地域によって必要なものに違いがある場合があるので、事前に市のHPや電話で確認することをおすすめします
調査訪問する日時を決める
申請後、書類に不備がなければ認定調査員による調査のために、調査訪問する日時を決めます。
この際に、本人に認知機能面で受け答えに心配があるときはこの時に伝えておきましょう。調査員も事前にその情報があると、情報を把握した状態で臨めるので調査しやすくなります。本人の前で訂正したり症状について話すことはプライドを傷つけたり、怒ってしまうことに繋がるので、調査後に話をする時間をとって欲しい場合などあれば、この時にお願いしておきましょう。
認定調査は本人だけでもいい?
私が関わった認定調査時では、必ず普段の様子がわかるようにご家族の同席をおすすめしていました!
認定調査は本人のみでも可能ですが、なるべく時間を作って同席しましょう。本人だけだと普段とは違う結果が起こったりして、本来伝えたいはずの日頃の困っていることが認定調査員に伝わらないまま終わってしまう可能性が高いです。私が知る限りでは、ご家族の方々は仕事を休んだり、予定を調整して調査に参加してくださいました。これは、介護に対する真剣な取り組みや患者の状況への理解を示す一例であり、私たちが日常業務において患者とご家族の信頼を築いていく上で欠かせない一歩だと感じます。認定調査を受ける本人も初めてのことに不安のはずですし、ご家族が一緒ならば心強いと思いますよ。
※本人の認知機能は全く問題がない場合で、家族も本人だけで大丈夫と納得している場合は本人のみでも大丈夫な市町村もあるようです。
認定調査
認定調査員による調査(生活・身体状態の確認)を行います。
調査項目は74項目。内容を簡単に説明すると、「起き上がれるか、座ってられるか、立ち上がれるか、麻痺や関節動き、入浴や排泄、食事についてや、実際に現在はどの様な介助がされているか、お金の管理は誰が行っているか、物忘れ・徘徊はあるか等について心身の状況をお聞きしたり、実際に行っていただき調査します。
調査は調査員がご自宅、入院中の場合は病室を直接訪問して行います。時間は約1時間ほどかかります。
「いつもは出来ないのになんで!?」
調査員さんの前で張り切っちゃって普段は出来ていないのに出来ちゃったりすることはよくある出来事です。そんな時は、「普段の様子、家族がどんなときにどのくらいの手伝いをしているか、どんな手間がどのくらい掛かっているか」を必ず調査員の方に伝えましょう。
※認定調査ってどんなことをするの?ポイントは?認定調査員さんに正しい情報を知ってもらうためには?
要介護認定の結果待ち
認定調査の結果をもとに、介護認定審査会「認定を受けるまでの期間(原則申請から30日以内)申請者は認定結果を待ちます。
この間に介護サービスの相談や準備を進めることもできます。
家で介護をする場合はお世話になるケアマネージャーさんのいる事業所探したり、介護施設に入所を考える場合は介護施設の情報を集めましょう。
市町村の福祉課や地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などで自宅近辺の居宅介護支援事業所の住所と連絡先の書いたリストをもらえますので、それをもとに自分で問い合わせて探すのが一般的です。
早急に介護サービスが必要な場合は、地域包括支援センターで相談しましょう!
老人ホームを自分で探すなんて・・・そんな時間ないよ
今の時代はネットを活用しましょう!いつでも空いた時間に検索できる「老人ホーム検索サイト」がオススメだよ!!
「自宅の近くで」「医療に詳しい」「認知症に詳しい」などといった要望を入力すれば、条件に合う事業所を教えてくれます。しかも料金も表示されているから目安にがわかるのが助かる・・・
ネットで何ヵ所か候補を絞って、地域包括支援センターで実際の施設の情報を聞くのも◎
要介護認定結果の受け取り
認定結果が出ると、要介護度に応じた介護サービスの利用が出来るようになります。
認定結果後に介護サービスを使う場合、「ケアプラン」と言う介護の計画表の作成が必要になります。
- 要支援1、2の場合⇨地域包括支援センター
- 要介護1〜4 自宅で介護の場合⇨居宅介護支援事業所
- 要介護3〜4 施設入所を申し込みたい場合⇨直接施設へ連絡し申し込みをする
既にお世話になっている(お世話になる予定の)ケアマネージャーさんがいる場合は、認定結果が出たことを報告しましょう。
ケアマネージャーが先に認定結果を知ることは基本的にないよ
結果を待たずに介護サービスを利用することも可能ですが、もし非該当となった場合はすべて自己負担になるので注意!この辺りは、担当ケアマネージャーによく確認をして進めましょう。
審査結果に不服がある場合は?
不服申し立て
認定結果に納得できない場合や、「非該当(自立)」と判定されて介護保険サービスを受けられなかった場合、不服申し立てを行うことができます。
申請の受け付けは市町村の介護保険課の窓口で行います。
不服申し立ては、都道府県設置の介護保険審査会に結果通知を受け取った日の翌日から3ヵ月以内に行います。期間は地域によって異なる場合もあるので、注意が必要です。
不服申し立てについては、調査のデータ等を見直して手続きに瑕疵があったかどうかを判定するもので大概の場合、介護度が覆ることは殆どありません。 また結果出るまで数ヶ月かかります。
区分変更申請
認定調査が行われてから結果が出るまでに状態が変わった場合(調査の時より悪くなった等)は「区分変更申請」が出来ます。
区分変更の場合は、訪問調査からもう一度やり直しされ、申請から1カ月ちょっとで結果が出ます。
こちらも申請の受け付けは市町村の介護保険課の窓口で行います。こちらは既に関わっているケアマネージャーや主治医がいる場合が殆どだと思いますので、専門家からみて申請が妥当かどうか申請前に相談してみましょう。
まとめ
今回は介護の申請について焦点を当てて事例を含めて流れを確認していきました。
この記事を通じて手続きの流れを事前に知ることで、介護申請のハードルが少しでも低く感じられることを願っています。本人や関係機関との連携が必要なこともありますが、それらを把握し、適切なサポートを受けながら介護の申請を進めていくことが大切です。
自分だけで抱え込まず、適切な介護サービスを受けながら、自身の生活も大切にしていきましょう。これから先も安心して介護を進めるために、一緒に当ブログで確認していきましょう。